「心の角度をフッと変えると、人間はその全部が変わってくる。」と先生は言う。
野口昭子著『回想の野口晴哉 朴歯の下駄』ちくま文庫 p.73
※「先生」とは著者の夫 野口晴哉のこと
相手の心の中に火をつける。火がつけば勝手に燃えていくのです。そういう力が自分の裡にあることを自覚させ、気付かせる。気付けば、自然と相手の中にそういう力が出てくる。運動の調整というのでも、そういう気の角度を変えるだけなのです。その見えないものの角度を変えるということが大変難しいのです。(中略)
…また愉快な顔をしようなどと思ってもできないことがあります。そういう時は、心の中に一点の灯をつけます。希望を与えれば元気になって働きだすのです。そういうようなことを私は常にやっております。
野口晴哉著『体運動の構造 第二巻』全生社 p.21 p.321
整体操法に於いて一番大事なことは、心の問題を主にして、心の中に火をつけるということなのです。そうすると、体が力を発揮する。それは空気の抜けた鞠(まり)を温めると、また弾むようになったり、空気を入れるとタイヤがピンとなるのに似ている。外から働きかけるというよりは、そういう相手の中の見えない力を燃やして、持っている体の力を十二分に発揮させよう、ということで、心に火をつけるということを技術として使っていったのです。
『月刊全生』平成11年10月 p.5
昭和47年5月 整体指導法中等講習会
太字および()内引用者