人間とは何か?という問いは、自ずと人間は他の哺乳類と何がちがうのかという問いに行き着きます。
言わずもがなですが人間には理性があるということ、そして二足で安定して歩行ができる、ということが人間を人間たらしめていることは間違いありません。
この二つを結ぶものが親指です。手の親指、そして足の親指、特に後者が重要で足の親指に重心が掛からなくなると思考力および意志、行動力ともに薄弱になる傾向があるように思います。
「と、思います」なのは主観による仮説だからです。これまでいろいろな人にお会いして、身体を観てきた経験からそのように思っています。
ただしなんの裏付けもないかというとそういう訳でもなく、以前紹介した『身ぶりと言葉』の中の人類進化の系譜を読むと、ほぼここに書いたとおりの内容が綴られています(ほとんど受け売りですね、)。
逆もまた真なりで、思考と感情、意志、この三つが合致して前向きに行動してきた人ほど足の親指が発達しています。翻って現代の「教育」は上の三つをバラバラにするために行っている、としか思えないものばかりなのが気になります。
しっかりとした人間力を育むには乳幼児期が要になります。この時期に細やかに要求を受け入れられて大切に育てられた人は、自分の感情や情動に対して開かれた意識が発達するために、意志力も行動力も生涯にわたってしっかりします。
子どもが意志薄弱だから(そうなるといけないから)、などと言って思春期前後になってからスポーツや武道でシゴいたり受験勉強を強いたり、などというのは考えものです。精神力や根性というものをはき違えているようにも思います。
ところどころ論理に飛躍がありますが、体を整える、とか思考をクリアに明晰に保つ、とか人間の主体をしっかり保とうと思ったら足の親指を使うことが端的です。
だからといってどうすれば…、というと具体案は紹介できませんが健康や体のことで不安のある方は、立った時に自分の親指に重心が掛かっているかどうかをまず確認してみてください。
小指側やかかとの方に多く比重がいっていたら、あなたの本来の力は発揮されにくい状態にあります。軽い運動でもした方が、などと思っても何をしていいかわからない人は、足の親指を刺激するものを見つけて実践してみるとよいと思います。